研究成果報告書(概要)

平成12年度 第19回

研究課題
染色物の日光堅ろう度の分光照射法による研究
研究者所属
大阪府立大学 機能物質科学科 教授
研究者氏名
高岸 徹
研究期間
平成12年4月1日から平成13年3月31日まで

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研究成果 概要

和文

 分散染料-ポリエステル(PET)繊維系について、回折格子照射分光器を用いて分光照射して、染色物の退色の照射波長依存性を、またPE Tの未染色布の黄変が最も著しい316nmの光に注目し、酢酸エチル中に可溶性PE Tを溶解し、分光照射して、分解挙動を調べた。紫外線吸収剤の退色抑制効果、共存酸素の影響についても検討した。分散染料としては、色相および骨格構造の異なる4種を選んだ。化学構造の異なるいずれの分散染料においても、PE T繊維に染着した場合には、最大の退色はPE Tが最大の黄変を示す316nmにおいて特異的におこることが分かった。溶液系において、可溶性PE Tを添加しない無添加系での染料の退色は、288>316>344>372nmの順になり、短波長の光照射ほど染料の退色が速くなり、添加系においては、316>288>344>372nmの順になり、316nmの光で染料の分解が一番速くなることが分かった。アゾ系分散染料は溶存酸素で退色が抑制され還元反応によって光退色が進行するのに対して、アントラキノン系分散染料は酸化退色によることが確認された。2種のベンゾトリアゾール系および1種のフェニルサリシレート系の紫外線吸収剤を用いてその添加効果を調べた。使用した紫外線吸収剤は275~400nmの波長領域に吸収をもつ。いずれの紫外線吸収剤においてもPE Tの場合には316nmにおける黄変および顕著な染料退色抑制効果がみられた。また、溶液系において可溶性PE Tが共存する場合、紫外線吸収剤の添加によって316nmにおける染料の退色が顕著に抑えられた。一方、ジアセテートおよびトリアセテートの未染色布は用いた紫外線吸収剤の添加によって黄変は抑られず、したがって染色布の光退色も抑制されなかった。用いた紫外線吸収剤の吸収波長領域は275nm以上であり、ジアセテートおよびトリアセテートの最大分解波長領域(それぞれ230および259nm)に吸収波長をもたないためであると考えられる。以上の結果から、繊維基質が特異的に分解を受ける波長領域に吸収波長をもつ紫外線吸収剤を用いることによって、染色布の退色は顕著に抑えられることが分かった。現在分解生成物の同定を液体クロマトグラフィーによって試みている。

英文

 The photodegradation behavior of disperse dyes on polyester fiber and in a solution containing dissolved polyester has been investigated using a monochromatic light source. Polyester undergoes photodegradation at specific wavelength, 316 nm. Any disperse dye on the fiber and in the solution was also affected maximally at the corresponding wavelength. The largest effect on the photodegradation is a specific-wavelength combination. The presence of ultraviolet absorbing agents prevented yellowing of the polymer matrix and photofading of the dye on the fiber from irradiation at 316 nm. The principal photodegradation of azo dyes proceeds via a reductive reaction and that of anthraquinone dyes does via an oxidative reaction.

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