研究成果報告書(概要)

平成17年度 第24回

研究課題
インクジェット染色の機構解明と染色布堅牢度の評価と改善
研究者所属
京都工芸繊維大学 工芸学部 物質工学科 教授
研究者氏名
浦川 宏
研究期間
平成17年4月1日から平成18年3月31日

報告書はこちら(PDF74KB)

研究成果 概要

和文

 これからの染色技術であるインクジェット方式による染色機構の解明、乾熱処理導入による染色プロセスの簡略化および乾熱処理された染色布の堅牢度の評価と改善を目的とした研究を行った。その結果、従来法である蒸熱処理(スチーミング処理)に代わり、乾熱処理を用いても条件を適切に選べば、蒸熱処理と同等な染色性が得られることを見出し、染色工程の簡略化への道を開くことができた。具体的な現象として、染料の布帛上への固着率を染色性とみると、乾熱処理温度及び処理時の布帛中の水及び尿素の量が固着率に大きな影響を及ぼすことが観察された。さらに、この影響は染料毎に異なることがわかった。したがって、染料の選択とそれに応じた適切な処理温度、水及び尿素の量の制御が必要となる。多量の水を含んだ状態で乾熱処理することは色や柄のにじみの発生につながり、染色品の質の低下を招く。廃水中に多くの尿素を含むと河川の富栄養化につながる。これらの点をも考慮して染料を選択する必要性を指摘した。インクジェット方式は連続生産に適した手法である。そこで布帛と非接触で熱処理が可能なマイクロウェーブ照射を用いた固着処理装置を試作し、その可能性を確認した。さらに、乾熱固着処理された染色布の堅牢度は従来法で得られるものと大きく変わらず、実用上の問題がないこと示した。
 固着率の温度依存性を見ると、水が布帛中に存在すると100℃、尿素があると130℃付近で急激な増加が観察された。両者が含まれると、この2温度で固着率が急増した。水と尿素がそれぞれ単独で染料の拡散と固着を促すことが示唆されている。これまで木綿の浸染では染色機構はポア拡散モデルで説明されてきたが、捺染は合成繊維の染色に対して用いられる活性化拡散モデルであることを示す結果が得られた。剛直なセルロース分子の集合体である木綿でも分子鎖運動が染料の拡散と固着に大きく関与することを明らかにした。

英文

 The inkjet printing is a promising method of textile dyeing. Conventional and problematic steaming process after printing has been applied for the dye fixation. The dry heat process of cotton dyeing by reactive dyes was newly developed in order to make the fixation process simpler and easier. The same fixation rate of dye as the steaming process could be obtained by dry heat process if appropriate dyes were used nuder proper conditions including temperature, water regain and amount of urea in fabrics. Water and urea molecules play a role of plasticizing agent during the fixation process.

お問い合わせはこちらまで

公益財団法人
スガウェザリング技術振興財団 事務局
お問い合わせフォーム

  • TEL:03-3354-5248
  • FAX:03-3353-4753
ページの一番上に戻る