研究成果報告書(概要)

平成22年度 第29回

研究課題
腐食性水膜下での金属材料の分極挙動計測技術に関する研究
研究者所属
東北大学大学院 工学研究科 准教授
研究者氏名
武藤 泉
研究期間
平成22年4月1日から平成23年3月31日まで

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研究成果 概要

和文

 金属材料の大気腐食は、電気化学反応であるため、速度論的な視点からのアプローチを行うためには、水膜下で分極曲線(電流-電位曲線)を計測することが不可欠である。しかし、通常の照合電極は、500µm 以下と言われる大気腐食が進行する条件での水膜厚さに比較して寸法が大きく、水膜の厚さや物質移動を乱すため大気腐食研究には使用することができない。
 そこで、大気腐食が進行している水膜下において、非接触で試験片の電極電位を計測できる照合電極(ケルビンプローブ)を備えた大気腐食研究用の新しいポテンショスタット(ケルビンプローブ・ポテンショスタットと呼称する)を開発することを目的に研究を実施した。
 ケルビンプローブ・ポテンショスタット開発の最大の課題は、試験片の電位を一定に制御するフィードバック回路のなかに、どのようにして非接触照合電極(ケルビンプローブ)を組み込むかである。そこで、2タイプの試作機を作製し特性を調査した。まず、Type Aとしては、試験片と共に細い白金を液膜下に配置し、これを疑似照合電極とし電位制御を行い、ケルビンプローブを用いて試験片の電位を計測するタイプである。フィードバック回路内には疑似照合電極のみ配置されている。この構成により分極曲線を計測することは可能であったが、疑似照合電極の電位が不安定なため再現性が低いという欠 点が見られた。次のType Bは、電位を制御するオペアンプの負帰還回路内にケルビンプローブを組み込んだタイプである。実験の結果、このType Bは電位が大きく振動し、回路の時定数を広範囲に調整したものの電位を一定に制御することができなかった。そこで、電位制御を負帰還回路で実施しないType Cを試作した。これは、ケルピンプローブで計測した試験片の電位と設定電位との差を作動増幅回路で検知し、試験片と対極との間の電流値を制御することで、両者の差を無くすように回路設計を行ったタイプである。その結果、液膜厚さ 50、100、500µm の9.23MのLiCl水溶液の液膜下にて、白金のカソード分極曲線(溶存酸素還元)を計測することができ、その結果は理論的考察から予測される結果と傾向が一致した。併せて、液膜厚さ500µmの条件で、亜鉛のアノード・カソード分極曲線の計測も行うことができ、ケルビンプローブ・ポテンショスタットの開発に成功した。

英文

 The Kelvin probe and potentiostat were modified to take the polarization curves for metals under a thin electrolyte layer in which atmospheric corrosion occurs. The design of a differential amplifier was used to control the potential of a working electrode. The Kelvin probe potentiostat made in this study was applied to make measurements on Pt under thin layers of electrolyte (50, 100, and 500µm). Cathodic polarization curves exhibited a limiting current density associated with oxygen reduction. The limiting current density varied with solution layer thickness. The anodic and cathodic polarization curves for pure Zn were also measured under a thin electrolyte bayer.

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