研究成果報告書(概要)

平成23年度 第30回

研究課題
無機ホストとの複合化による天然色素の耐光性向上
研究者所属
静岡大学 工学部 物質工学科 助教
研究者氏名
河野 芳海
研究期間
平成23年4月1日から平成24年3月31日まで(※全期間:平成23年4月1日~平成25年3月31日)

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研究成果 概要

和文

 天然色素は安全で,環境負荷の小さい着色剤として注目されているが,安定性が低く,光照射により退色する欠点がある。これまでに,陰イオン交換能を有する天然層状複水酸化物であるハイドロタルサイト(HT)の層間にアニオン性天然色素を複合化し,安定性を大幅に向上することに成功したが,疎水性の強い天然色素との複合化は困難であった。そこで,HT層間を予めアニオン性界面活性剤で有機修飾した上で疎水性天然色素と複合化し,可視光照射に対する耐久性が改善できるか調べた。
 HT層間をドデシル硫酸塩やドデシルベンゼンスルホン酸塩で有機修飾した後に,アナトー色素およびβカロテンのエタノール溶液と混合し,色素複合体を得た。XRDより,色素の複合化の過程で有機修飾HTの層状構造は維持されることを確認した。得られた複合体の吸収スペクトルは溶液と比べて長波長シフトが見られたが,これはHT層間に色素分子が吸着されて分子の共平面性が向上し、励起エネルギーが低下したことを反映している。有機修飾HTの色素複合体に可視光を照射したところ,参照資料であるシリカ複合体と比ベて大幅な耐光性の向上が見られた。以上のとおり,HT層間を有機修飾することで疎水性の天然色素が層間に取り入れられ,耐光性向上が実現できた。
 いっぽう,色素複合化の際に溶媒を使用しないほうが実際のプロセスとしては好ましいため,色素粉末と有機修飾HTを乳鉢で物理混合して複合体を調製し,安定性を評価したところ,疎水性天然色素(β カロテン・クルクミン)においては耐光性の大きな改善が見られたが,親水性の強い天然色素クロシン では安定性の向上効果は限定的であった。以上より,疎水性の天然色素分子は,物理混合によっても, 有機修飾HT層間の疎水的空間へ複合化して安定性の向上が可能であることが分かった。これらの天然色素複合体は,極めて安全で環境にやさしい着色料等への応用が期待される。

英文

 We have succeeded in the preparation of the composite of several hydrophobic natural dyes and the hydrotalcite, whose interlayer space has previously been organo-modified with anionic surfactant. The composite could be prepared by mixing the organo-modified hydrotalcite with the ethanol solution of the dye, or simply by mixing the organoclay and the dye powder in the solid state. The XRD or the UV-Vis spectra revealed the intercalation of the hydrophobic natural dye into the interlayer space of the hydrotalcite. The light fastness of the hydrophobic natural dye was greatly improved, whereas that of the hydrophilic dye was not. It was concluded that the stability was improved by the intercalation of the hydrophobic dye into the organo-modified interlayer space.

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