研究成果報告書(概要)

平成26年度 第33回

研究課題
ポリエステル薄膜の光劣化が及ぼす水蒸気収着特性への影響
研究者所属
信州大学繊維学部化学・材料系 応用化学課程
研究者氏名
平田雄一
研究期間
平成26年4月1日から平成27年3月31日まで

報告書はこちら(PDF134KB)

研究成果 概要

和文

 光に暴露された材料表面近傍の変化を抽出するために水晶振動子マイクロバランス(QCM)上にポリエチレンテレフタレート(PET)薄膜を形成し、光照射を行った。PET薄膜の水蒸気収着量はQCMを用いてngオーダーの変化を測定し、照射前後のPET薄膜の水蒸気平衡収着量および拡散係数へのPET薄膜の光劣化の影響を検討した。PET薄膜への光照射は太陽光の紫外線成分に相当するサンシャインウェザーメーターを用いて、連続照射時間8時間を複数回実施した。5および9MHzの水晶振動子を用いることで質量22から40μg、膜厚約1μmの薄膜の測定が可能であった。30℃50%RHの条件での水蒸気平衡収着量および拡散係数を求め、光照射前後でこれらの値の変化を比較した。その結果、40から80時間の光照射によってPET薄膜の一部が分解し、薄膜の質量が約10%減少した。一方で水蒸気収着量は光劣化により40から50%減少した。これはPETが紫外線に長時間曝されることで分解したためであり、薄膜を用いることで薄膜の表面から質量減少に寄与する深さの割合が高いために、高い減少率を示した。光照射により高分子が分解し極性基が生じた場合、極性基は親水性基なので水の取り込みが増加する方向に寄与するが、この水蒸気収着量の大きな減少は水蒸気を取り込める高分子の絶対量が減少しただけでなく、高分子薄膜中の水蒸気が入り込める自由体積も減少していることを示す。拡散係数は光照射時間が長くなるにつれ減少する傾向を示した。これらの挙動はPETは半結晶性高分子のため、高分子薄膜の結晶化度の上昇により引き起こされた。光照射後の高分子薄膜の水蒸気換算収着曲線では収着量が0.5以上の領域では光照射前の試料よりも収着量の増加率が大きくなっている。これは拡散係数自身は光照射により減少したが、換算収着曲線の挙動から極性基の生成によって水蒸気と極性基が相互作用することで膜の可塑化が起き、水蒸気収着量が大きい領域で拡散性が増加していると推察される。
 以上の結果から、QCMセンサーが1μm程度の厚さで起きている高分子の光劣化挙動を水蒸気収着の変化から明らかにするための有力な分析手法になり得ることが示された。

英文

 Quartz crystal microbalace was applied to measure water sorption for thin films of polyester in order to emphasize the change of surface region for materials exposed to light. The sample thickness was controlled to about 1 micro meter to oscillate a quartz crystal. The thin films on the quartz crystal were irradiated for 40 to 80 hours by an accelerated weathering-test sunshine weathermeter. After the irradiation, the mass of sample decreased by 10% and the water uptake in the thin films reduced by 40 to 50% from initial state. It suggests that the degradation and increase in crystallinity of polyester were occurred in the thin films.

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