スガウェザリング技術振興財団
第36回 表彰・第37回 研究助成 贈呈式

(公財)スガウェザリング技術振興財団では、毎年ウェザリングの研究について、著しい成果を上げられた方の表彰・研究助成を行っています。 今年も多数の応募の中から厳正な審査の結果、第36回表彰1件、第37回研究助成先6件を決定し、今春、贈呈式が盛大に執り行われました。

スガウェザリング技術振興財団 第35回 表彰・第36回 研究助成 贈呈式・記念祝賀会
千原由幸 文部科学省 大臣官房審議官 須賀 茂雄 理事長 相澤益男 審査委員長

平成30年4月25日(水) 11時20分~12時 東海大学校友会館

開会にあたり、須賀茂雄理事長(スガ試験機(株)代表取締役社長)の挨拶、相澤益男審査委員(東京工業大学 名誉教授・元学長)の審査報告に続き、 表彰並びに研究助成の贈呈が行われ、千原由幸文部科学省大臣官房審議官にご祝辞を戴きました。
引き続いての記念祝賀会では、財団を代表し飯塚幸三評議員会議長、受賞者の今本啓一氏(東京理科大学)および研究助成者を代表して 小茂鳥潤氏(慶應義塾大学)がご挨拶をし、丸山俊夫評議員(東京工業大学 名誉教授)の発声で乾杯をしました。110名を越える方々でにぎやかな祝賀会となり、受賞者の栄を讃えました。
第1回(昭和57年)より今回で、表彰は団体15件、個人155人、研究助成は255件を数えます。

記念祝賀会

飯塚 幸三 評議員会議長 今本啓一氏
小茂鳥潤氏 丸山俊夫評議員
受賞者の方々のご紹介 祝賀会会場の様子

第36回(平成29年度) スガウェザリング財団賞表彰

科学技術功労賞(個人)

今本啓一
今本啓一
東京理科大学 工学部第二部建築学科 教授
歴史的鉄筋コンクリート造建築物の保存方法の構築
鉄筋コンクリート造建築物の典型的な劣化として、鉄筋を保護するコンクリートのアルカリが二酸化炭素と反応して消失し、鉄筋が腐食する中性化と呼ばれる現象がある。
今本氏は、耐久性診断として、コンクリートの表層品質を非破壊的な手法により評価し、躯体の損傷を最小限とする方法を提案した。 また保存方法として、経年により腐食が進行する鉄筋に対して、主として水の作用に着目した外観維持型の改修方法を提案した。 本研究は、今後の鉄筋コンクリート造建築物の保存のための重要な技術を包括するものであり、その社会的貢献は高い。

第37回(平成30年度)研究助成贈呈者

秋津貴城
秋津貴城
東京理科大学 理学部第二部化学科 教授
赤外自由電子レーザーによる蛋白質-金属錯体複合材料の損傷と軽減
本研究は、化粧品(紫外線吸収剤)として特許出願した金属錯体と、皮膚に含まれる代表的な蛋白質ケラチン等の複合材料に、化学結合を選択的に切断する赤外自由電子レーザー光を意図的に照射することで、紫外線とは異なる赤外線による蛋白質の損傷ならびに金属錯体によるその軽減を検討するものである。
大塚雄市
大塚雄市
長岡技術科学大学 システム安全専攻 准教授
生体適合性を有するAnti-fouling溶射皮膜の開発に関する国際共同研究
海洋構造物等における微生物付着による腐食は重大な問題であり、環境汚染を防止しつつ付着を抑制する技術が必要である。
独自に開発した、溶射皮膜表面への高分子錯体形成技術およびレーザパターニング技術を組み合わせ、環境適合性の高いAnti-fouling溶射皮膜を開発することを目的とする。
また、細胞接着性の走査型プローブ顕微鏡観察を用いて、錯体や微細パターンによる付着抑制効果を明らかにすることを目指す。
加藤昌彦
加藤昌彦
福山大学 工学部機械システム工学科 教授
プラズマ放電により形成したナノワイヤによる耐食性改善
表面にナノ凹凸を形成して金属材料と水滴の接触を防ぐことにより、金属材料の耐食性を改善させることを目的とする。
独自に開発したナノワイヤにより、材料表面の濡れ性を改善し、環境中の微細液滴と金属表面が接触することを防止することで、耐食性の改善が期待できる。
北垣亮馬
北垣亮馬
東京大学 工学部建築学科 講師
光熱同時劣化を受ける建材用塗膜の反応機構の解明に関する研究
本研究は、光熱同時劣化を受ける建材用有機高分子塗膜の劣化反応機構の温度依存性及びそれに伴うマクロ物性変化に関する研究である。
ポリウレタンの紫外線劣化に対する温湿度依存性を検証するために、①紫外線照射強度レベルの設定のための予備試験、②乾燥状態での温度依存性の確認、③物質移動抵抗性と表層部分の化学結合状態の関係性の確認を通じて、物質移動抵抗性が高分子の分子量の変化だけでなく、紫外線劣化による切断・架橋といった劣化反応に依存している状況を明らかにすることを目的とする。
小茂鳥 潤
小茂鳥 潤
慶應義塾大学 理工学部機械工学科 教授
燃焼合成反応を援用した表面処理プロセスによる鋼の高度化
金属間化合物は高強度であり、耐酸化性や高温強度も高いため、自動車エンジン用部品をはじめとして、様々な分野での利用が期待されているが、加工性に劣るという致命的な欠点を有しているため、その利用用途が制限されている。
本研究は、氏らが開発した雰囲気制御高周波誘導加熱微粒子ピーニングシステムを利用し、構造用鋼の金属間化合物化するプロセスを提案し、 さらに被処理面の特性を評価し、実用化に向けての指針をまとめる。
寺西 亮
寺西 亮
九州大学 大学院工学研究院 准教授
3次元微構造解析によるNb(ニオブ)の挙動と腐食機構の解明
オーステナイト系ステンレス鋼は、耐食性や延性など優れた特性を有することから、家庭用品をはじめ建築、自動車、鉄道車両用材など産業分野に広く普及しているが、使用環境に依存して応力腐食割れや孔食、粒界腐食などの局部腐食現象が起こる。 腐食の一因に、鋼の溶接時における結晶粒界でのCr含有炭化物の析出およびCr欠乏層の形成があり、腐食を抑制するには組織観察に基づく機構の考察が重要である。 本研究では、鋼を3次元で微構造解析し、Nb(ニオブ)添加鋼中の析出物(NbC)の形態を実体的に観察することにより腐食の機構を明らかにする。

(肩書きは受賞当時・敬称略)