本年は東京と京都で開催いたしました。今回も様々な業界の方々を講師にお招きし、東京講演・京都講演あわせ約230名の方々にご参加頂き、盛会のうちに無事終了することができました。ご聴講頂いた皆様、講師の先生方、並びに財団役員をはじめご尽力頂きました多くの皆様に厚く感謝し、深く御礼申し上げます。これからもウェザリング技術にたずさわる皆様のお役に立つ情報を発信し続けて参りますので、ご支援の程よろしくお願い致します。
東京会場
京都会場
開催日時 | 2024年10月23日(水) 13:00~16:55 (東京) 2024年10月30日(水) 13:00~16:55 (京都) |
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場所 | 野村コンファレンスプラザ日本橋 6階大ホール (東京) ホテルグランヴィア京都 5階古今の間 中 (京都) |
テ ー マ | 新しい視点から挑戦するウェザリング研究 |
後 援 | 文部科学省 |
協 賛 | (一社)軽金属製品協会(公社)高分子学会(一社)色材協会 (公社)自動車技術会 ステンレス協会(一社)繊維学会 (一財)日本ウエザリングテストセンター(一社)日本鋼構造協会 (一社)日本ゴム協会(一社)日本塗料工業会 日本プラスチック工業連盟(一社)表面技術協会 (公社)腐食防食学会 スガ試験機㈱ |
主 催 | (公財)スガウェザリング技術振興財団 |
要旨集 | 要旨集ご購入はこちら |
本日はお忙しい中、ご参加頂き、誠にありがとうございます。 おかげ様で、東京・京都とも大勢の皆様に参加登録を頂いており、改めて御礼申し上げます。さて当財団は1981年に、スガ試験機株式会社の創立者である須賀長市と須賀蓊が中心となり“わが国のウェザリング技術の普及と発展”を願って設立いたしました。須賀長市は戦争の経験から、日本の兵器が自然環境下で劣化し、品質において米英に比べ余りにも大きい差があったことを痛感し、ウェザリング試験機の開発に着手しました。須賀蓊は講演の中で「ウェザリングは永遠のテーマ」と繰り返し述べ、その重要性を説きました。
財団設立にあたり、初代財団理事長の内田俊一先生は、物の劣化を防ぐために劣化の律速因子を見極めることが重要であるとウェザリング技術の本質をつかれました。また、ソニー創業者の井深大様は、資源のない日本において当財団の取り組みが品質管理技術の向上と産業発展に大きく寄与すると期待を寄せてくださいました。 財団発足当時の先代達の思いや、著名な先生方からの言葉を改めて思い起こしますと、これからも当財団事業に真摯に取り組んでいかなければならないと新たに思うのであります。
本日の講演会が、皆様の更なるご研究の糧となり、新しい視点を得るきっかけとなることを願い、私の開会の挨拶とさせて頂きます。
マテリアルズ・インフォマティクスを活用した腐食予測技術
機械学習により非線形な現象を精度良く回帰できることが注目されている。そこで、教師あり機械学習モデルを用いて屋内大気環境における金属の腐食性予測を試みた。マテリアルズ・インフォマティクス*の知見を活用して金属の性質を数値データに変換した記述子を用い、さらに混合ガス腐食試験で得られた結果と合わせて教師データとし、1つの機械学習 モデルで様々な金属の腐食性を予測することに取り組んだ。本発表では、データの前処理方法、記述子の検討、予測性能 評価について報告した。
*マテリアルズ・インフォマティクス:機械学習等を用いて、材料開発を高効率化する取り組み
JIS K 7201-4 ISO 4589-4 の制定:宇宙居住環境での固体材料の可燃性の評価
地球と重力レベルが異なる環境における固体材料の可燃性を予測することは、火災安全性の観点から重要である。宇宙火災に関する国際的な共同研究プロジェクトFLAREでは、この予測のために必要な地上試験としてISO 4589-4およびJIS K 7201-4を制定した。この規格がどのように固体材料の可燃性評価に用いられるかを紹介するとともに、ISO 及び JIS 制定の経緯も紹介した。
地上試験から評価する宇宙居住環境での固体材料の可燃性
月面基地や軌道上にクルーが長期間滞在することが計画されているが、地球と重力レベルが異なる環境における固体材料の可燃性を予測することは、火災安全性の観点から重要である。宇宙火災に関する国際的な共同研究プロジェクトFLARE では、この予測のために必要な地上試験としてISO 4589-4およびJIS K 7201-4を制定した。この規格がどのように固体材料の可燃性評価に用いられるかを、ISS・「きぼう」における最新の軌道上実験の成果とともに紹介した。
塗膜の屋外耐候性~屋外暴露で塗膜はどのように劣化(変化)するのか?~
屋外暴露の塗膜劣化を忠実に再現する手法を探索する過程で、酸/無機塩/ダストが劣化に強く寄与することを見出した。これらの汚染負荷は耐酸性/防食性/耐汚染性といった指標で(耐候性とは切り離して)評価されることが多いが、屋外環境を再現するように試験を複合化することで単独試験とは異なる材料劣化を起こすことを紹介した。
樹脂の耐候性試験における新たな光学特性評価
各種樹脂は、屋外で暴露されると、外観の変化が起きる。その評価のため行われるキセノンランプを用いた促進耐候性試験の結果は、一般的に色差や光沢保持率で評価されることが多い。今回、それ以外の方法による評価事例を実際の試験結果をもとに紹介した。
JASO M 609:2024 新試験による鋼板を用いた腐食減量の結果報告
1991 年に制定されたJASO M 609は複合サイクル試験として自動車業界のみならず様々な業界で使用されてきた。このJASO M 609は新しい試験として2024 年に改正された。ここでは腐食促進試験で多く用いられている冷間圧延鋼板を用いてJASO M 609:2024の試験を実施し、その腐食減量の結果を紹介した。
講演会の最後に伊藤 叡評議員より閉会のご挨拶がありました。今回の講演会のテーマ「新しい視点から挑戦するウェザリング研究」と結びつけて、講師一人一人の講演の“新しい視点”について解説、様々な産業分野で挑戦をし続けるウェザリング研究の重要性を説きました。
各講演会終了後、スガ試験機㈱主催の技術交流会を開催致しました。 講師の先生方のご挨拶と東京は堀 照夫評議員、京都は坂 志郎評議員の乾杯発声の後、講師の先生方を囲みにぎやかな会となりました。
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